朝、まだ暗いうちに港町ディエップ(Dieppe)を発ち、ソンム県のサン=ヴァレリー=シュル=ソンム(Saint-Valery-sur-Somme)へ向かおうと、県道925を 車で北東に進んでいた。
かつてオート=ノルマンディー(Haute-Normandie/高いノルマンディー)と呼ばれていたこの辺りの海岸は、切り立った断崖になっていて、そのため道は海岸線に平行して走っているが、海沿いではなく 少し内陸の高い平原の上を真っすぐに伸びている。
払暁の広い空に、このところ目立って増えてきた、風力発電用の風車があちこちで唸っている。
地図を見れば、すぐ近くに原子力発電所(Centre Nucléaire de Production d’Electricité)もある。
ある意味、フランスの田舎らしい風景の一つと言える。
一直線の道は更にずっと続く。
30㎞ほど走ったあたりで、D925からD940へと、進むべき道が変わる。
このポイントを間違えないようにと確認した地図上に、気になる町があった。
ノルマンディー地域圏 そして セーヌ=マリティーム県の最北端、「ル・トレポー」。
聞いたことはないけれど、地形を見ても、名前を見ても、どう見ても港町っぽい。
小さな港町には興味がある。ちょっと寄ってみることにした。
楽しそうなニオイのする町
町へ近づくと、眼下に街並みが見えた。
並ぶ屋根の向こうに 海も見える。いい眺めだ。
単調な道をしばらく走って来たので、そろそろ車を停めたくなっていた。
路肩に ちょうど広くなったところがあり、車を寄せる。
降りて背伸び。ん~ぅあーーーあぁぁぁっ・・・。
すぐ近くにお墓があった。
よく見る町の墓地の隣に、200基ほどの同形の墓標がずらり並んだ敷地がある。
もしかしたら、かの上陸作戦による戦いで亡くなられた戦士の方々のお墓かもしれない。(確かではありません)
ノルマンディーを巡っていると時々目にする。
車に戻り、海に近い中心街へ下りてゆくと、この町が想像していたものより大きいことがわかった。
まだ人通りは少ないが、楽しそうなニオイのする町だ。
英国風というのだろうか、レンガ積みの建物が多く、どの家もシックで美しくカッコイイ。
同じ英仏海峡沿いの町、フェカン(Fécamp)やディエップ(Dieppe)のそれと似ている。
次の目的地へ向かう時間を遅らせて、ちょっとだけ散策してみることにした。
<つづく>